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第四部、流浪の民編

悪口を書いてほしいと言われたので

ティアーズオブザキングダムが終わりました。75時間ぐらい

結論としては良かったです。人生のゲームの中でもかなり心に残る部類になったと思う。ただなんか総論賛成各論反対というか相変わらず細かい部分は結構すごいね…みたいな印象を抱きました。以下順番に書いていきます。超ネタバレです

良かった

  • 最初のタイトル出るところ
    前作のタイトルは横方向にひたすら広いということをアピールしてて各所でパロされるぐらい有名になったアレの続編として、今回は横じゃなくて縦でいきますを明確に示してきたので良い掴みだった(ただ実際にはそこまで縦でいってるわけでもないという話はあり、後述)
  • マスターソード関連
    最初からどこにでも行けて、どこに何があるかを知ってるか知らないかが全て…みたいな基礎思想があると思っていて、それに基づいためちゃ良いトリックだった
  • ラスボス~最後
    前作でめちゃ嫌だったのがラストで突然馬がフィーチャーされたことなんですよね。これ今作にも通じる不満なんですが、高いところに登って滑空しろってデザインで陸路に沿ってしか走れない、しかも谷や山に遮られるとついてこない、ファストトラベルしても自動ワープしないような交通手段って存在する意味自体わからなくないですか?そんなものを全員が使ってる前提でお出しされたことに結構腹を立てていたんですが今回は縦のゲームだからラストバトルはちゃんと縦で締めるという一貫性に心から納得した。アクションとしては風神殿のボスで似たようなことやっただろという話はありますがアクション観点のラスボスは地下で戦った方で、最後のはセレモニーなのでそういうところはどうでもいいですね。瘴気ダメージは食らうけど即座に回復するのも地下戦で溜まったストレスの解放で気持ちよかった。
    あとは最初に掴めなかった手を最後に掴んで終わるのは最高でしたね。ベタだけどベタなのが一番良いんだわもう
  • ボス全般
    3Dのゼルダに期待してるのってこの部分で、ここだけはいつも通りなので安心できる。ティアーズオブザキングダム要素も特に悪さはしておらず、変な解法の幅が広がる方向なので純粋に面白い
  • スクラビルド
    武器回りに面白みが見いだせるようになったのが良かったですね。前作はなんか壊れる武器をいくら拾ってもな~という感じだったし、武器を一時的なリソースとして捉えた上でやるんだったらこういうのは良いなと思った。敵素材の使い道が増えたのもgood
  • モドレコ
    基本的な謎解き以外の使い道が広くて、1つの仕組みからこれだけ広げられるとすごいねという感想。強すぎて敵とか祠のギミックを盛大にぶっ壊している気もしますが、壊れてもええやんけというのが基本思想に見えるのでそれは別に良い。全然関係ないけどムービーシーンでも無駄に活躍してるのはちょっと笑った

なんともいえない

  • トーレルーフ
    なんか縦方向でうまくやっていく要素が足りなかったから無理矢理入れた感ないですか?落ちてきた石をモドレコで戻すと縦移動できるのはおお~という感じな一方、「天井を突き抜ける」って言われてもなんで?という感覚を抱く。縦方向でやっていくって言っても機能してるのは最初のチュートリアルと祠ぐらいで、地底→地上→空のアクセスにはあんまり寄与しないし、あとは洞窟とか井戸から出るためのリレミト用?存在自体が浮いていて、たまに要求されるタイミングで存在を忘れて詰まったことが何回かあったぐらい馴染めなかった
  • ウルトラハンド
    面白いが6、ダルいんじゃが4ぐらい。目的に対し過剰な労力を投入してルーブ・ゴールドバーグマシンを構築するのはそれ自体が相当好きじゃないとやる気にならないし、つまりコログは手で運んだらいいし敵は手で殴ればいい。BesiegeをやりたいならBesiegeをやれば良くないですか?youtuber向けですと言われたらそうだなと思う
  • 縦要素
    空から地底まで降りるみたいなギミックは何回かあって良かったけど全体的にはなんか足りなかったかもな感。オープニングで目覚めてから地上に降りるまでの流れでアレだけ縦やらせたんだったら全編に渡って縦を期待してしまうし、その期待に答えるほどの縦感はなかった。鳥望台は高いシーカータワーで空島は高い山、あんまり前とやってること変わらないかも…という気持ちは抱く

良くなかった

  • 操作系
    もうゲームパッドって操作系の上で仕方ないんだけど全体的にきつい。ウルトラハンドがちょっと嫌なのも操作系の問題があって、回転モードへの切り替えとかやってると業務システムでも触ってんのかという気になる。やってるとなんとか慣れてくるけど数日空くともう意味不明になるし、普段あんまやらない操作をしようと思うと画面の小さなヘルプを見ながら恐る恐る押していくしかない。
    あとはアイテム選択のUIも全てが1個のスライダーの上に収まっていてすごいですね。火を付けるのも明かりを照らすのも素材で攻撃力上げるのも全てが1つのスライダーの上で完結しており「種類順」「よく使う順」「攻撃力順」という謎のソートだけでやらされる。よく使うでなんとかするしか無いんだけど、色々な試行をやる気力を削ぎ、ゲームとしてはなんか色々やって欲しそうなんだけどこのUIで色々はやらんべと感じた
  • 中盤の話
    明らかにゼルダの偽物っぽいのがいる、よくわからんがもう少し探ってみるぜ…を神殿ごとに4回、さらに馬宿でも繰り返すのはめちゃめちゃすごい。どういう順番でも行けるという制約の上では基本的にどうでも良い話しか書けないんだろうか。マスターソードの大ネタはどういう順番でも行ける前提がないとうまく成立しないから善し悪しな気がするけど、あまりにも同じ話が4回展開されたので4回か~…と感じるのを責めることはできないんじゃないですかね。ついでにダンジョン構成も同じで、処理順序を問わない仕掛けをN個解除する構成が4回繰り返される。3回目ぐらいから変な笑いが出てくる
  • 全てが乱数
    ダークソウルとかの実況者がたまにやってるランダマイザってMODがあって、全ての配置が乱数で決められて装備が取れたり取れなかったり、キーアイテムが無くて詰んだりするのをゲラゲラ笑う遊びです。このゲームがやってることそれなんですよね。装備・チュートリアル・基本的な機能・連続イベントの起点など全てについて見落とす可能性があり、それによって正しい体験が損なわれる。地形の作りがすごいとか目線誘導がすごいとか言われてますがすごいですか?やらせたいことは明確にある一方でやらせたくないことに対して特にガードされていなくないですか?
    作り手の意図(彼らの脳内に存在する正しい道)に沿って歩かないと意味不明な欠損が生じるのがブレスオブザワイルド&ティアーズオブザキングダムです。小さなメダル的なポジションのアイテムのうち2種類ぐらい用途不明なままエンディングを迎えましたし、これはやった方が良かったなぁというイベントを後で動画見て知りました。無くてもクリアできるということなんでしょうが、じゃあそんなものをゲームに入れるなってなりません?どうでもいい要素を100個ぐらい入れてそのうちの30個ぐらいをランダムに経験してゴールする(状況によってはどうでもよくないものがスルーされ、致命的に体験を毀損する可能性もある)のがオープンワールドなんですか?マシンパワーに任せて富豪的にでかい砂場を歩けること自体が面白い時代は過ぎたのでは?オープンワールドの全ての悪口を言っているようですがその通りです。一方でオープンワールドの中でも敵の強さとかでやらせたくないことに一定のガードを掛けているゲームはたくさんあるので、そのガードが異様に緩く正しい体験を損なう可能性が非常に高いこのシリーズに対しての文句は一回り強いです
  • ザコ敵
    この辺の攻略調べてないのでどういう機構なのかよくわかりませんが、何らかのトリガーによりその辺の敵が強くなり、そうするとワンパンで殺されたりするんですよね。
    気色悪い観点が2つあって、まず攻略連動で強くなると仮定しての話ですがこっちの装備の強化ペースと全然不一致な気がする。大妖精の装備強化についても前述の乱数問題の都合でイベントの始点を踏まない可能性があり、踏んだとしても強化コストも安くはない。単純に祠と神殿を回る+装備微強化で得られる攻防能力の増加に対して敵の戦力増加がすごい。
    もう1点、この「戦力増加」が見た目と不一致なのが本当に気になる。一部敵は岩の鎧をまとったりして打撃じゃないと壊せないみたいな要素がありそういうのはわかる一方で、モーションも同じだけど色違い、持ってる棒の先っぽに強い素材が付いてるから5倍のダメージを食らって即死しますって納得感あります?
    攻略順序が自由なゲームのモブの扱いって単純に地理的に出発点から遠いほど強い奴を置くand/or攻略度合いに応じて全部強くするだと思いますが、後者中心で行くならなんかもうちょっと良い調整あるんじゃないでしょうか。打撃や属性しか通らないみたいなギミック敵がその辺に出てこられてもダルいはダルいんですが、数値上の攻防だけ異様に上がったモブに唐突にワンパンされるよりはまともだよねという…

 

以上。

 

前作も発売と同時に買ったもののなんか普通だったんですよね。全然嫌いではなかったんですが、オープンワールドに由来する問題をほとんど解決しない(あるいは悪化させている)割にオープンワールドの革命で類を見ない最高のオープンエアーなどと祭り上げられているのを見るたびに嫌いになっていったという経緯があり、とはいえ憎悪は何も産まないので今作は和解したいな~という気持ちでやっていった結果上記の善し悪しがあり、最終的には良かったという結論になった次第です。個々の要素はなんか全然納得行かなかったしオープンワールドに由来する問題は相変わらず一切解決しなかったけど、最後にちゃんと空中戦が入って、その後手を掴んだので120点を付けて終了した。

 

でもまぁ良いと思うんですよ、結果論で。

 

20年ぐらい前に風のタクトというゼルダがあって、これは意味不明に広い海から砂粒みたいな欠片を7個だか8個だか拾い集めるというものすごいゲームで今やったらモニターが粉々になることは間違いないんですが、それでも最後の最後にガノンに剣を刺したとき「風が聴こえる…」とか言うシーンは今でも心に残ってますからね。

 

結局我々は評論家でもなければ開発者や経営者でもないわけで、数千円と数十時間あるいは数十万円と数年を入れた結果、自らの心に残る何かがあったなら全体としての整合性が意味不明でも良いんじゃないですか?作り手側が伝えたそうな内容が適切に伝わらない構造になっていたとしても自分に伝わった部分だけで合格点が出たらそれで合格なんじゃないでしょうか?というか何も伝わってなくても良いし、伝えられていないものを勝手に受け取って嬉しいならそれで良いのではないですか?隅々まで緻密に設計された構造から完璧な体験が排出されるとすればそれはそれで素晴らしいことですが現実は歪な構造の中に瞬間的な輝きが見出されるもんです。FGOのゲームテンポがクソでも全ユーザで一斉にシナリオを読む体験は替えが効かないし、艦これの全てがイカれているとしてもイベント最終海域でボスを撃沈した瞬間はお前だけの宝物。トルネコ3もしょうもねぇゲームだけど俺だけの宝物だし、冥炎魔天もグランカテドラルも踏破した人にとってはアレじゃないですか?俺は嫌だけど。皆さんも各自の歪な宝物や石ころを抱えて死ぬまで生き、そして死ぬしかないんですよ本質的には。

 

そういう感じでした。時代は悪口ではなく諦めと悟りであり、今後皆さんはどんどんジジイになっていくので適切な死に方を考える必要がある。各自やっていって頂ければと思います。